毎週土曜日に、40歳半ばで結構お喋りが好きなクリーニング屋が来る。 先週出した洗濯物を、と云っても主に私のワイシャツだが、届けに来て そして今週分を集めていく、普通のクリーニング屋である。 ただ、とにかく話が好きで、長いと10分はお喋りをしていく。 先日の会話ー 「北区って一番老人が多いらしいですね。 だからどうしても老人性 痴呆症も多くなりますよね。」とクリーニング屋。 さらに 「昨日もあるおじいちゃんがカーペットを洗濯に持って来られましてね。 1週間 かかりますよと言ったんですよ。 じゃ、よろしくって店を出て いったと思ったら、1時間後に出来た?って来たんですよ。 再度1週間かかりますよって言ったら、あぁそうかいって帰っていったんです。」 ニコニコしながら、話はさらに続く。 「そしたら、また1時間後に出来たかい?って来ましてね。 さすがに今度は 1週間後というメモを渡して、ようやく来なくなりましたけどね。」 話はまだ続く。 「次に別のお爺ちゃんが来ましてね。 『俺、なんか預けた?』って言うから 今日は預かってませんよと言うと、そうかいって帰って行きましたけどね。 こんなんばっかですよ。」 と大笑い。 「じゃ、またお願いします。」と クリーニング屋が我が家を後にした。 その後私は思い出し笑いをしたりしたが、15分後にふと玄関を見たら、 青い大きな布の袋が横たわっている。 (ん? なんじゃこれ?) (あっ! クリーニング屋だ。) そう言えば、この青い袋に仕上がった洗濯物を詰めて来てるよ。 大事な商売道具を忘れて行っちゃった。 大丈夫か? クリーニング屋さん!一覧へ