昨日(5月1日)から私が18歳まで育った田舎町の祭りが始まった。 今でこそ市町村合併で市になったが、元々は人口1万2千人程度の 小さな町だった。 そんな小さな町でなんと360年あまり続いている祭りがある。 大中小20以上の行燈(あんどん)が引き回される。 どんなものかというのは現物を見てもらえば話は早いのだが、一言で 言うならば、青森のねぶたが縦に細長く台の上に組み立てられたような ものである。 作り方は同じで、木材と竹を細工していろんなものを形取っていて、最後に 和紙を貼り、ロウ引きと言って絵になぞってロウで線を描く。 そして最終 段階としてベニで色付けをする。 3月の寒い時期から若い人たちが連日集まって製作したものの披露でもある。 2日間のために約2ヶ月の時間をかけるのである。 夕刻になると行燈に火が灯る。 赤の紅(ベニ)が主体の行燈が夕闇に映えて なんとも言えない日本の美を感じる瞬間である。 それを町内くまなく引き回し、2日目の夜半、大人の行燈が狭い通りですれ違い 時に相手の行燈を壊す「けんか」が始まる。 引き手も上に登って喧嘩に加わるものだから前に進まなくてハラハラするという 祭りである。 大学入学で田舎を出た初めてのGW。 田舎は祭りだし、帰りたいがなにせ学生の 身分、金が無い。 学校も休みなので、4畳半の部屋に何するでもなくいた。 ごろっと横になりミニコンポのラジオを聴いていた。 やがて夕闇が迫ってきた時に、なんと私の耳の奥に田舎の祭りの太鼓の音が、幼い頃 から聞き慣れた祭り太鼓が響いてきた。 (あー、やっぱり帰れば良かったなぁ) と瞬間思った。 それがアルバム「愛」に収録の「祭り太鼓」という曲になりました。一覧へ