そう言えば、大学時代は毎年の学園祭で無謀にも笑点を真似て 大喜利をやったなぁ。 大抵出たがりの4年生が出るのが恒例 だった。 そして大胆にも客からお題を頂いてなんてことも。 いよいよ私の代が4年生になり、楽しみにしていた大喜利に出る 時がきた。 やっと出られるという嬉しさと、どんな無茶なお題を 言われるかという不安が交錯した。 さて、要領の良いやつは「俺が司会をやる」と被害を被らない側に まわる。 私は回答者をやりたかったので黙っていた。 6人の4年生が順に舞台に上がり、座布団に座る。 さあ、即興川柳の時間になった。 「では、五七五の川柳の上の五文字を頂戴します」と言うが早いか。 「トイレの戸ぉー」と叫ぶ男性の声。 (トイレの戸⁉︎ おいおい、それ以上貰うなよ) 司会はいつも以上にニヤニヤしながら、「では、下の五文字を 頂きましょう」 (バカヤロー‼︎ どうすんだよ。 お前はいいよ。 考えなくて いいんだから) 「はい‼︎」と勢い良く手が上がり、別の男性が「山の手線」ときた。 会場騒然、そして大きな笑い声で埋めつくされた。 我々回答者は腕を組み苦悶の表情。 じゃーん! そこは華ん朝さん(私の高座名)。 真っ先に閃いた。 「はい!」と手を挙げる。 「おっ! 華ん朝さん速いね」と司会者。 「では。 トイレの戸 あるわけないよ 山の手線」 どっと笑いがきた。 気持ち良かったなぁ。 勝ち誇った気分。 それを聞いた他の回答者が次々と……。 「トイレの戸 探せばあるよ 山の手線」 「トイレの戸 昔はあったよ 山の手線」 「トイレの戸 忘れてきたよ 山の手線」 という具合に続き、事なきを得た。 高座を下りてから皆に感謝されたことは言うまでも無い。一覧へ