またまた落研の合宿での話。 合宿は概ね1週間。 地方の民宿に泊まり、最終日はその地の 公民館なりで全員が発表を行うのだった。 その前日と当日の午前中は幟を持って、ハッピを着て町を練り歩く。 「○○公民館で発表会を行います。 入場は無料です。 是非 ご近所お誘い合わせの上、来てくださあい」てなことを全員で 叫びながら歩くのだった。 普段あまり楽しみのない地方だけに学生落語とは云え、結構人が 集まってくれた。 でも、どうしても時間帯によって観客の入りが 違う。 通常だと1年生~2年生というふうに下級生から順次出番が 回ってくるのだが、人の入りの具合を見ながら、多い時は上級生が 「おい。 順番替わってくれよ」としゃしゃり出てくる。 要は目立ちたがり、出たがりの集団なのだ。 その発表会が終わると、宿に戻って合宿の打ち上げ。 どういうわけか 会場の入り口に大きなたらいが置いてある。 最初は何か判らなかったが、要はゲロ用のたらいである。 ある年の合宿の打ち上げで、私の同級生がべろべろに酔った。 もう何を喋っているのか解読不能。 そいつが「ちょっくら小便に行って くるわ」と言ったきり戻ってこない。 我々同級生が心配になり探しに行くことに……なんてことはない。 会場入り口の所に座っていた。 「なんだよ。 お前どっかでぶっ倒れてんじゃないかと思って探しに 来たんだよ」と我々捜索隊。 「大丈夫だよ。俺は」とそいつ。 さらに「これうめえぞ。みんなもどうだ」と言いながら、たらいの中を 何度かかき回す。 そしてその手を舐める。 「えーっ!!!」と捜索隊の面々。 たらいの中では、そう、何人かがもどしたゲロがチャポンチャポンと 波打ってる。 あまりにも汚いから、我々捜索隊は「捜索打ち切り!」を宣言して 席に引き返した。 そいつも60歳になったところで亡くなっちゃった。 あのゲロが身体に悪さをしたかなあ。一覧へ