古典芸能と云えば寄席にも時々足を運ぶ。 実は学生時代には4年間落語研究会に所属をしていた。 とは言うものの、一番不真面目な部員で、4年間で覚えた 噺がなんと5~6本という少なさ。 落語が心底好きな 連中は10本は覚えてたんじゃないかなあ。 そして、同じ落研出身でプロの噺家になったのが何人かいて、 今や真打も4人かな?生み出している。 そんなこともあって、時々寄席に足を運ぶ。 数年前、上野鈴本へ何人か連れ立って行った時のこと。 私の左隣へ親子連れが座った。 息子が40代半ば。 母親が 70代後半だろうか。 おそらく田舎から出てきた母親に親孝行をしてるんだなと思い 清清しい気持ちで見ていた。 もうすぐ開演という段になって、場内放送が。 演じている途中で なるべく立たないように、今のうちに用足しをしておいて欲しい という内容。 じゃ、我々も順次行くかと話をしていた、その時隣の親子連れも 立ち上がった。 当然私のすぐ隣に座っていた母親も立とうとした。 でも、やはりそこはおばあちゃん。 前の座席の背もたれに右手をかけ、 左手は自分の席の背もたれに手をかけ、体を左にねじりながら、声には 出さないが、どっこらしょと立ち上がった。 しかし、下半身に力を入れたせいか、「ぷっ」という音が。 (あー、やってくれた)と私が左を向くと、なんとその目の前にかの おばあちゃんのお尻が……。 (うわっ! 勘弁してよ) 左にひねったために、おばあちゃんのお尻がちょうど私の目の前にあった。 当然、私もすぐに席を立ち、その場を離れた。 (親孝行だから仕方がないよな)という気持ちで、へー然と。一覧へ