これまた15年くらい前の話。 出張でかなり朝の早い電車に乗った時のこと。 出入り口の扉の所にべろべろのおじさんが。 片手で手すりを持ち、片手にはビールの小瓶。 その車両には、このおじさんと私も含めて3人しか乗っていないにも係わらず座ろうとしない。 「おい! ばかやろう!!」と誰に言うでもなく、ドアの外に向かって叫んでいる。 「おい! ばかやろう! 大阪はなんなんだ。 大阪、大阪って偉い顔すんなよ。 通天閣?......ばかやろう! 東京には東京タワーがあるよ。 道頓堀?......ばかやろう! 確かに食いもんは安いらしい。」 「大阪?......大阪弁が気に入らねえなあ。 東京弁喋ってみろってんだ。 ふざけんな。」 何が面白くないのか。 大阪のどこが気に障ってんのか。 ふらふらしながら約20分大いに叫んだところで、 「ところで、俺は大阪に住んだことねえから、分かんないけどさ。」 瞬間、吹き出した私を乗せた朝の電車は線路を進んで行くのでした。一覧へ