さて、本当に久方ぶりの2千円札を手にした私は、お昼を 食べようと少し歩いた。 しかし、どうしても気になる。 若い世代の店員だと、まじまじと私が支払いのために出した 2千円札を眺めるんだろうなあ。 空中に透かしてみたり…。 そして言ううんだろうなあ、申し訳なさそうに。 「あのー、お客様。 このお札って本物ですか? 私見たこと ないんですが。」 やだなあ。 そこで私は2千円札の生い立ち、一時的なブームの話などを しなくちゃならないんだろうなあ。 でも、実は2千円札って いつ発行になったのかすら、もう記憶の彼方に葬られているのだ。 これをお読みになってる皆さんもそうでしょ? これは面倒くさいぞと思い、また駅に戻った。 3分後に私はまた券売機の前にいた。 再びカードを入れて、チャージの500円のところにタッチ。 そして、例の2千円札を入れる。 「よし。これで解決だ。」 カードと1500円の釣銭を受け取れば、悩み解消ー! ところが、いつになく機械の反応が鈍い。 なかなかチャージ完了の表示が出ないと思っていたら、 「カチャッ」という音と同時に機械が動かなくなったのだ。 「えっ?! なんで?」 こういう時に人は、自分が何も悪いことをしてないのに焦る。 「あそこの券売機で、つい5分前にチャージをしたところ、この 2千円札が出てきたので、ならばJRに再度戻そうと思い…」 頭の中でセリフを瞬時に練習している。 横の小窓を開けて駅員が声をかけてくる。 「機械が詰まったようですね。 カードは戻りました? おいくら 入れられました?」と。 暫くすると、カードと1500円が戻ってきた。 頭で反復練習をしたセリフは言わなくて済んだ。 にしても、2千円札って可哀そうだね。 もうその存在すら忘れられ、機械に通すと糞詰まりを起こしてしまう。 可哀そうだね。一覧へ