年齢を重ねるとともに階段を下りる速度が遅くなる。 というか、敢えてゆっくり下りることにしている。 そして握りはしないが、とっさの時に掴めるように 手すりに手を添えた形で下りるようにしている。 「転ばぬ先の杖」だね。 年とともに階段を下りることに恐怖感を覚えるように なってくるのだ。 ある日の、ある駅の階段、私の前に階段を下りる親子。 子供は5歳くらいの男の子。 親は40歳手前くらいの、やや小太りのお母さん。 子供がやたらと母親に話しかけている。 お母さんはやや面倒くさそうに、でも「あ、そうなの?」 と一応相槌は打っている。 「仲の良い親子だなあ。お母さんのことが本当に好き なんだなあ。」と私は目を細める。 10数段下りたあたりで母親が子供に言った。 「喋ってばかりいないで、さっさと下りなさい!」 子供は「うん。」と一言。 でもね、お母さん。 あなたの方が遅いですよー。 ゆったりしてますよー。一覧へ