私の通っていた高校は、富山県のある県立高校で、当時は板張り床の 校舎も混在している、なかなか趣のある学校だった。 昼食は食堂か近所のパン屋か、自宅から弁当を持ってくるかだが、私は もっぱら食堂で食べていた。 と云っても田舎の高校のこと。 メニューはうどん、ラーメン、カレー くらいのもの。 その日は、やや遅れた昼食でラーメンを食べていた。 一人だったので 好天の中のグランドを眺めたり、グランド脇の土手に座って弁当やパンを 食べている生徒を眺めたりしながら食べていた。 そのうち後ろから「おりゃー!」と奇声を発し誰かが近づいて来たかと思うと、 いきなり目の前に手が伸びてきた。 何事かと思う間もなく、右の目が急に熱くなり、そして猛烈な痛みが襲ってきた。 右目をつぶりながら顔を上げると、一番の親友がけたけた笑っている。 ただ、こしょうにまみれて片目をつぶっている私の顔を見た途端、友人も顔色が変わった。 「おまえか。 目が痛い痛い」~「えーっ。 ごめんごめん。 びっくりさせようと思って…」 「とにかく痛い」~「水で目を洗った方がいいな」 ということで、そいつに腕を引かれて水道の蛇口へ。 何度も何度も手のひらに貯めた 水の中で目をぱちくり。 ようやく落ち着いてきたが、右目だけがその日はしょぼしょぼしていた。 今でも右目の方が視力がかなり弱いのはそのせいかなあ……なーんてね。 そうではないと思うし、今でもそいつは一番の親友でもあるし、青春時代の一幕ということで 良き思い出となっている。 お互いに元気でいようや。 アルバム「Shinichi-ojisan」に収録の「Freind」は彼のことを謳った曲です。 聴いてみて下さい。一覧へ