私は歯医者を含めると、毎月3件の医院に通っている。 嫌だな、面倒だなと思いつつも、自分の健康は自分で 見るしかないので、まあ仕方がないと、毎日4種類、 5錠の薬を飲んでいる。 そのうちの1件の内科医院。 この先生が実にお喋り 好きで、1人の患者に短くて10分、長いと20分くらい 時間をかけるのだ。 その時間の半分以上はほぼ雑談だ。 高齢者の多い北区においては貴重な存在ではある。 高齢者にとっては、格好の話し相手でもあるのだ。 しかし仕事の合間、あるいは仕事を終えてから行く私 などはたまったもんじゃない。 昨日も私の順番が来るまで、かなり待たされた。 診察室(と言っても完全な部屋ではなく、カーテンで 仕切ってある)の脇のソファに座っているから、結構 会話が聞こえてくる。 「それじゃあ、また今度ね。」と先生の声。 おっ、終わるぞと思った瞬間、先生が「ところで…」と 新たな話題を提供する。 患者のおばあちゃんは、我が意を得たりとばかりに、また 話し出す。 ひとしきり話したところで、先生。 「あー、そうですか。 じゃ、また今度ね……ところで…」 せんせーい!! また? ダメだって質問しちゃ。 またおばあちゃんの言葉が続く。 これを3回繰り返すんだから、もうー。 そして、おばあちゃん患者、ついに4回目の話をし始めた。 それに受け答えする先生の声が、いよいよ呆れ声になってきた。 それでもおばあちゃんの話が終わらない。 ほらね。 だから言ったでしょ?!(口には出してないけどね) 先生から無駄に質問しちゃ駄目だって。 そのうち先生が言い出した。 「次の患者さんがお待ちなので、また今度ね。お大事に。」と。 へえー、この先生がそういうことを言うとは。 これはまた珍しいや。 で、ようやく私の名前が呼ばれて診察室へ入った。 あー、しんど。一覧へ