以前、出張がかなり続いた時のこと。 宿泊先のホテルでマッサージを頼んだ。 (うん?)いやあな予感。 出てきたのはどう見ても70前後のおばあちゃん。 マッサージが始まると、そのおばあちゃん、まあよく喋ること。 「お客さん、今のマッサージは客を寝かしちゃダメなんんだってね」 (うん? なんで?? 気持ちよければ寝ちゃうだろう) 「昔はね客を寝かせるほど上手いマッサージって言われたらしいけど、今はね 寝ちゃうと、翌日になってちゃんとやってくれなかったって文句を言いに行く らしいよ」 にしてもどうも揉みかたが変だ。 そっと目を開けると、話に夢中になり手振りを 交えながら喋ってる。 (おい! 喋るのはいいからマッサージしろ!) おーっと。 ここで話しかけると向こうの思うつぼだ。 再び目を閉じる。 そのうち足に移ったが、これも効き目が今ひとつ。 また目をそっと開ける。 なんとテレビに見入ってて、片手でテキトウにやっているだけ。 (いかん。 テレビをつけっ放しにしておいたのがまずかったぁ) 「この議員、なんで泣いてんのかねえ。 よっぽど議員辞職がくやしかったのかねえ」 (そんなこといいから。 マッサージしろ! テレビを見るな!) そして、今度は咳きこみ始めた。 何度も何度も。 「コホン コホン コホン」 「コホン コホン コホン」 「うーっ コホン コホン <プー>」 (うん?! 何だ今のプーは。 おならしたな?) 咳の音にまぎれてプーは聞こえなかったと思ってんだろう、何食わぬ顔で。 「今年は暖かすぎて、桜もあっという間だったね。」 こちらは、いつ臭ってくるかと筋肉硬直ー。 そのうちマッサージ終了。 「どう? 少しは効いたかね」 (バカヤロー!! それどこじゃないよ、こっちは) 「5分多くやっといてあげたから」 (あーあ。 有り難よ。 余計疲れちゃったよ) まるでドリフの世界でした。 ダメだ、こりゃあ。一覧へ