夜の飲み会に向けて時間調整のために、とある喫茶店に入った。 ひとつ空けて隣に女性が2人。 1人は40歳くらいか。 もう1人は20歳後半か、こちらの女性がほぼ一方的に話している。 どうやら中身は異性、恋愛問題の相談をしているらしい。 敬語を使っているので決して親しいという友人関係ではなさそうだ。 聞き耳を立てているわけではないが、静かな喫茶店だからどうしても 耳に入ってくる。 全てが聞こえるわけではないが、かいつまんで言えば、こんな感じ。 ・彼の態度がはっきりしない。 ・そういう性格なんです、彼は。 ・電話やメールを送っても、なかなか返事が返ってこない。 ・私は好きだし、いつも気になっている。 ・とにかく彼はぐいぐいと来ないタイプ。 私がリードしなくちゃ。 という感じかなあ。 私はコーヒーをすすりながら、待ち合わせ時間を気にしている。 そのうち、何か妙な音がすることに気が付いた。 パサパサという音が時々聞こえる。 横に置いた鞄から書類を取り出すふりをして、目線だけをちらっと 彼女たちのテーブルに向けた。 やはり、そうだ。 年長の女性がカードを切ってはテーブルに並べて いるのだ。 「あっ、そうなんだ。」 「うん、うん。 そうね。」 てな具合で大した答えが返るわけでもない。 そんな中で、「もしかすると他に女性が居る可能性も…」と言うと、 相談者がその言葉に被せるように、 「彼ってそんな性格なんです。」とくる。 ダメだあ、相談にならない。 「その通り! 間違いない!! もう気持ちはあなたから 離れてるんだよ!!!」とよっぽど言ってやりたかった。 にしても、恋愛をカード占いに頼るか?一覧へ