私はテレビから音が流れていないと気が済まないというか、なぜか寂しい。 家に帰ると、まずテレビのスイッチを入れる。 観る観ないに関わらずだ。 中でもドラマは基本観ない。 大河と刑事ものを除いては。 とは云え、年間を通して、いくつか気になるドラマだけは観る。 好きな俳優が出ているものとか、筋書きが気になるものは観る。 先日終了したが、実話を基にした「仰げば尊し」というドラマを楽しませて もらった。 ある荒れた高校を、高校生を、音楽(ブラスバンド)で気持ちを ひとつに導き、大会にも出るようなクラブにまとめ上げた。 しかし、もがき苦しみ、悩みに悩んだ外部から来た先生は、残念ながら癌で 人生を閉じるというドラマだった。 なぜこのドラマを観るに至ったのか。 主演が寺尾聡だったからである。 若い頃の寺尾聡はさほど好きじゃなかったが、やがて70歳にならんとする ここ最近の彼は、ものすごく雰囲気が出てきた。 独特の雰囲気が。 今や私の好きな俳優の一人である。 その寺尾聡がテレビの対談番組で言っていた。 曰く、父親である宇野重吉が存命中は、「親父に似てるねえ。」と周りに 言われることが嫌だった。 それが不思議なことに宇野重吉が死去した後は、 親父に似てると言われると逆に嬉しい気持ちになると。 父親で俳優だった宇野重吉は必ずしも主役ではないにしても、本当に独特な 雰囲気を醸し出し、常に存在感のある俳優であった。 私も親父を亡くして21年。 寺尾聡の言うことが実感として分かる。 親父が居なくなってからは似てきたと 言われるとなんかねえ、嬉しいんだよね。 不思議だね。 この感覚は。 相対してる時は、男通しでどこか緊張感というか、お互いに100%心の中を 見せられないというか、そういう男の恥じらいがどこかにあったと思う。 奥底には父への尊厳の気持ちがありながら、それを直接に表現出来なかった という思いがあって、それが「親父に似てきたねえ。」の言葉を嬉しく感じる のかな? 久しぶりに、私のアルバム「愛」の最後の曲「あなたのおかげ」を聴いてみた。 うん。 やっぱり良い曲だ。 あは。一覧へ