娘が子育てでかなり疲れている。 その様子が顔を合わせるたびに 見て取れる。 そんな母親の状況を全く無視するかのように母親に べったりとする孫。 小さなうちに思い切りスキンシップをしておくことが、子供にとっては 極めて大切なことと、私自身の基本的な考え方でもあるので、いつも 微笑ましく眺めている。 思いやりのある人間味のある人物に育ってくれればいいなあと思う。 娘よ、しばらくの間だ、頑張れ! そんな娘から、ある日ケラケラ笑いながら電話が入った。 そして言う。 「じいじ、止めてよね。」と。 私は??? 何のことかこれだけでは全く意味が分からない。 訊くと、ゴミを捨ててきてって頼むと、前はくずかごまで行って捨てて いたのが、最近はくずかご目がけて放り投げるらしい。 「えっ?! 誰の真似だ?」ととぼけてみせる私。 とにかく孫の前では止めて欲しいと娘からの注文。 「それから……」と娘。 (ん? まだ何かあったか?) ここでまた娘の笑い声が電話の向こうに響く。 訊くと、幼子がくずかごに入らずに周りに散らかったゴミを、 なんと足でつまみ上げてくずかごに捨てようとしてるらしい。 「えっ?! 誰の真似だ?」と言いながら、私も大笑いしてしまった。 想像するだけで笑ってしまう。 小さな足の短い指ではまだ無理だ。 それが分からないまま、一生懸命に足の指を動かしてるんだろうなあ。 出来れば、その姿を直に見てみたい。 笑い声が一段落したところで、娘からの一言。 「もー、すぐに真似するんだから。 変なことを目の前でやんないで。」と。 そうか。 そうだよね。 大人が出来ても子供には無理な事って多いもんね。 「分かった。 次に家に来たら、俺が直接足指でのつまみ方を伝授してやろう。」 ジャン。一覧へ