娘が毎週土曜日に、孫を連れて来ることは前にも述べた。 歯科医の腕が完全に錆びつかないように、近所の歯医者に 土曜日だけ勤めに出るためである。 必然的に只今2歳と11カ月の孫の面倒を見ることになる。 男の子なので、これまた必然的にジィジが相手をすることに なるのである。 まあね。 子供は基本好きなので、嬉しいがやはり疲れる。 そして花粉症であることも以前紹介をした。 あっ、私がですよ。 いくらなんでも2歳児にそんな辛い 思いはさせられない。 4月のある土曜日。いつも通り孫とプラレールで遊んでいた。 というか、私はレールを組み立てる役目。 あとは孫が手で 押したり引いたり、時にスイッチを入れて走る模型の電車や 新幹線を眺めているのである。 時々お呼びがかかる。 以前はレールが外れたから繋いでと せがまれたものだが、最近はティッシュの箱で大きなトンネルを 作れと言う。 中身が無くなった空のティッシュ箱と未使用のティッシュを 組み合わせて大きく長いトンネルを作る。 そのトンネルに電車が入る姿、反対側から出てくる姿、それを 孫が寝そべって見ている。 私も寝そべって見てみた。 (あーっ、なるほど。これかあ) たしかに臨場感を感じることができる。 まるで本物の世界だ。 そのうち、鼻水が垂れてきたので、私が立ち上がって部屋を出ようと したら孫が、「ジィジ、どこ行くの?」ときた。 鼻をすすりながら、「鼻が出てきたから、ティッシュ取ってくるね。」 と言ったら、「ジィジ、行かないで。」ときた。 そして、トンネルを崩して未使用のティッシュの箱を開けろと言う。 (やばい! 未使用のティッシュを全部開けろと言ってきそうだ!) と思いきや、1箱だけ開けて中のティッシュを何枚か取り出した。 (やばい! 中身を全部出すつもりか?!) と、次の瞬間 「ジィジ、これで鼻かんで?」とティッシュを渡してくれた。 そうか! そうだったのか! ジィジのためにティッシュを取り出してくれたのか! 孫を抱きしめた。一覧へ