中学生時代、私は遅刻の常習犯だった。 1年の1学期には92~93日の登校日のうち、なんと40日近くが 遅刻だった。 家から中学校まで徒歩約10分。 仮に8:30始まりとして、8時に 家を出れば、余裕なのにである。 まあね、性格だからね。 自覚はしていても、なかなか直せないよね。 それに遅刻と云っても、5分くらいだったかな? 要は10分前に家を出るのを目標にしていたので、出がけにトイレに 行きたいとか、何かあると遅刻だった。 1学期の通知表には、担任の先生のコメントとして、それがしっかりと 書いてあった。 2学期からの改善を求むと。 そして2学期。 そう簡単に直らないよね。 1学期同様、だいたい3日に1回の遅刻。 このペースをキープする。 マラソン選手も羨むようなペース配分。 2学期も3週間ほど経過した、ある日の放課後。 担任の先生に職員室へ来るように言われた。 この先生、若い頃から柔道をやっていて、悪さをした教え子は呼ばれ、 職員室の隣にある畳敷きの休憩室で、払い腰で投げ飛ばされるという噂で あった。 (やばーい。 僕も投げ飛ばされるう) と恐怖度120%で職員室の扉を開けて、担任の元へ。 「おー、来たか。」先生の第一声が職員室に響く。 結構声もデカいのだ。 先生の隣に座らされて、説教を受ける。 「君なあ、3分の1が遅刻だぞ。 なにやってんだ? これじゃ困る。」 そして、自分の机の引き出しを開ける。 中から取り出したものは、なんと 芯の丸くなった鉛筆5本と小刀。 (ん???) 私はもちろん何のことだか分からない。 「ここで鉛筆を削ってみろ。」 「はっ? はい!」 小刀を手に取って、慣れない手つきでとにかく削る。 先生はその間じーっと私の手元を見てるだけ。 5本全部削り終わって 「先生、終わりました。」と私。 「だから遅刻するんだよ。 5本削るのに何分かかってんだ?」 なるほど! そういうことか。 「そういうことだ。 明日から遅刻するなよ。 行っていいぞ。」 先生の温かみが身に染みた。 (有り難う先生) 心の中で言いつつ、お辞儀をして職員室を後にした。 それからの私は改心をして、全く遅刻をしないようになった…。 と言いたいところだが、5%くらいに減った。 30%が5%に改善されたのだから、鉛筆効果大であった。 あの先生、思い出すなあ。一覧へ