ようやくというか冬らしい寒さがやってきた。 しかし雪の量は極端に少ない。 3日前に仕事で富山へ入ったが、その前日の夜に降ったとのことだったが、 うっすらと路面に残っているくらいで大したことはなかった。 私が幼い頃は、それこそ今の時期はだいたい1mあるいはそれ以上積もって いたもんだ。 長靴を履いて毎日のように外で遊んでいた。 雪合戦、雪だるま、かまくら、近所の土手でスキー、つららを舐めながらの下校 とか……。 その中でも一番の思い出というか楽しみだったというか面白かったことは、新雪の 上におしっこをすることだった。 真っ白な積もったばかりの雪の上におしっこをかける。 一点に集中するとそこだけ どんどん深い穴になっていく。 1m下の路面にまで届くかと試みたが、子供の おしっこの量では無理。 時にはおしっこで文字を書いてみる。 白い雪に黄色の文字が浮かび上がる。 ただ筆順が連続してる文字ならまだしも、連続性のない文字を選んだ場合は、それに 合わせておしっこも止めてみたりしてね。 ある日、学校から戻り早速友達が遊びにきた。 二人であっちこっちに、足を開いて両手を大きく左右に伸ばして、そう映画タイタニックに 出てくるあのポーズだ。 それで雪の上に倒れこむ。 そして起き上がったそこには 見事な「大」の字が。 友だちと順番に作っていく。 冷たいが新しい雪の上に倒れ こむ、あの感覚が忘れられない。 実に心地よい。 「今度は顔から行くぞー」と友だち。 要するにうつ伏せに倒れこもうというわけである。 (えっ?! そこは……) そう、昨日私がおしっこ文字を書いた場所だ。 そう伝えようと思った瞬間「やっほー」と 声を発し友だちが顔から雪に突っ込んでいった。 おしっこ文字の上にさらに新雪が積もったものだから、見た目には全く分らないのだ。 あー、やっちゃったと思ったが、時すでに遅し。 友だちは口からも雪を吐き出しながら 「おー、冷たーい。 でも気持ちいいー」と起き上がった。 ごめんね。 とても言えない。 黙ってよう……。一覧へ