私は昔から歯が悪い。 いや、弱いというべきか? にも係わらず、中学校、高校時代は時としてチョコレートを口に したまま居眠りしたり…これじゃあ歯はどんどん悪くなるばかり。 大学時代には、かかっていた歯医者さん、女医さんだったので それなりに優しい言い方だったんだろうと思うが。 「あなた、40代で総入れ歯になっちゃうわよ」と太鼓判を押されて しまったくらい。 えーってなもんで、それからは多少気をつけるようになったし、歯の 具合が悪くなるとすぐに歯医者へ行くことを心がけるようになった。 甲斐あって、女医さんの言った40代を大きく越して、まだ総入れ歯 にはなっていない。 まだ自分の歯が若い頃に予想していた以上に 残っているので、それを上手く利用した義歯活用となっている。 先日歯医者に行った。 受付の女性とはもう顔なじみである。 いつものように「こんにちは」と声をかけて、診察カードを提示する。 「こんにちは。 今日は寒いよね。 保険証は出したほうがいい?」 「保険証はきょうはいいんじゃないですか? この前見せてもらいました もんね」と彼女。 「分りました。 じゃ、これだけ」と言って診察カードを台に置く。 そこで暫く彼女の手が止まった。 次の作業に入ろうとしない。 そしてニヤニヤしながら、笑いを含んだ元気な声で。 「これパスモですよ!」一覧へ