これもかなり前の話だが、九州転勤を命じられて移動した。 広島は大竹市に知人がいて、途中せっかくなので顔を見に 行くよという連絡をしたら、それは是非泊まっていけと 言われ、お言葉に甘えることにした。 家族3人一晩お世話になった。 新築間もない頃で風呂もトイレもそりゃあもう綺麗で、 使わせてもらうのにも気が引けるくらいだった。 夕食も朝食も本当に美味しく頂いて、いよいよ出発の時間が 迫ってきた。 その時、きたー!! トイレだ。 この時間の無い時に決まって……しかし行かない わけにはいかない。 とにかく出来るだけ短時間で済ませようと思い、また知人の家の トイレを詰まらせちゃいけないという思いに駆られて、いつもと 違うパターンで、途中で一度水を流した。 そして全ての動作を終えてから、再度コックをひねる。 振り返って便器を見ると。 (おや? 全部流れてないぞ) 外からは「パパ、まだあ」という声が聞こえる。 慌ててまたコックをひねる。 水の勢いが弱い。 そうか! 大きなタンクのために水が溜まるのに時間がかかるのだ。 暫く待っていたら、また「パパ、まだあ」の声。 満タンになるのを待ちきれなくてコックをひねる。 やはり弱い。 若干の破片が水の中に漂っている。 しかし、もう時間がない。 しょうがない、まだ少し漂流物が残っているが。 知人の車で隣県山口県は岩国にある錦帯橋という木橋を案内して もらった。 日本3大奇矯の一つで川幅200mに5径間のアーチ 形の橋が架かっている。 1670年代に完成したものである。 但し、その後何度も架け替えが行われていて、現在のものは平成に なって架け替えられたものではあるが。 しかし、その間もトイレに残してきた破片が気になって仕方がない。 奥さん、ごめんなさい。一覧へ